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「湯~とぴあ」を独占?事例に学ぶ事業エリアと業界キーワードと商標登録の関係

公開日: : 最終更新日:2015/11/07 商標, 商標事例研究, 商標戦略

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商標とは、社名や商品名などいわゆるビジネスの看板(目印)となるものです。主に、ネーミング、ロゴ、キャラクターが商標登録の対象です。

商標登録しておくと、同業他社が同じ(または似ている)ネーミングやロゴやキャラを無断で使っていたら、そのようなパクリ行為を止めさせるメリットがあります。

事業を続ける限り、いつか、どこかで、だれかに、商標をパクられるリスクがあります。その際には、しっかりと商標登録の恩恵を受けたいところです。

photo credit: Picture 230 via photopin (license)

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そこで今回は、2つの温泉施設が「湯~とぴあ(湯~トピア)」からなる商標を巡って争われた事例をもとに、事業エリアと業界キーワードと商標登録の関係を考察してみました。 

ちなみに、下記のロゴはどちらも商標登録されており、現時点の裁判ではこれらの商標は似ていないと判断されています(参考:「函南町が逆転勝訴 温泉施設、商標侵害当たらず」) 。なお、今年1月16日の第一審東京地裁の判決はこちら

事業エリア

そもそも商標登録とは、お客さんにとって似たような商標があちこちにあると、間違って意図していない方を選んでしまう恐れがあるため、それを防ぐためのものなんです。

そのため、お客さんが商品を買ったりサービスを受けたりする場所(事業エリア)をふまえて、商標登録の似てる似ていない(及び商標権の侵害か否か)が検討されることもあります。

今回の事例の場合、それぞれの温泉施設の場所が山梨県と静岡県であり、お客さんは地元の人が多いから間違いにくいよね、という検討がされたと考えられます。

業界キーワード

つぎに、どちらにも使われている「湯~とぴあ(湯~トピア)」 というキーワード。漢字(湯)とかな文字(ゆ~とぴあ・ユ~トピア)の語呂合わせが特徴的です。

ところが、「湯~とぴあ(湯~トピア)」 というキーワードが使われている温泉施設は日本全国にけっこうあるようです。そうすると、、「湯~とぴあ(湯~トピア)」は特徴的だとは言えなくなるんです。

つまり、業界キーワードとして一般的に使われている場合、それは商標登録のメイン部分とはなりにくくなります(おそらくそのキーワードのみで商標登録は認められないでしょう)。

そのため今回の事例では、いくら「湯~とぴあ(湯~トピア)」が共通しているとはいえ、そのキーワードだけでお客さんが温泉施設を間違うことはないよね、という検討がされたと考えられます。

商標登録の基本

原則、商標が似てる似ていないを判断するには、見た目(外観)、響き(称呼)、イメージ(観念)の似ている度合いで、このうち一つでも似ていたら商標は似ていることになります。

今回の事例の場合、「湯~とぴあ(湯~トピア)」以外の部分(「ラドン健康パレス」や「かんなみ」など)は、事業の単なる説明部分とも考えられます(内容とか場所とか)。

ところが、「湯~とぴあ(湯~トピア)」が業界内でよく使われるキーワードだとすると、事業の単なる説明部分だとしても、商標登録の一部(お客さんがそこの商品やサービスと判断する部分)でしょ、という検討がされたと考えられます。

特に、「湯~トピアかんなみ」はロゴとしての一体感があるため、その観点から言っても、わざわざ「湯~トピア」だけ切り離す必要はなさそうです。

≪まとめ≫

商標登録の類否判断の基本は、見た目(外観)、響き(称呼)、イメージ(観念)の似ている度合いです。これは、特許庁に商標登録を出願して審査を受けるときも同じです。

ところが、裁判で商標の似てる似ていないを判断する場面では、特許庁以上に事業エリアや業界キーワードの位置付けも考慮に加わると考えてよさそうです。

今回の事例では、商標「湯~トピアかんなみ」の使用中止や約1200万円の賠償請求は妥当じゃないと判断されています。この事例を教訓に、商標登録する場合の文字の組み合わせやロゴのデザインを検討してみてはいかがでしょうか。

2015年11月6日

著者 ゆうすけ

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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