知らなかったじゃすまされない!営業担当がやってしまう商標登録の失敗例
営業担当者は売り上げ目標を達成するのに精一杯です。だから新商品の売り込みにも当然気合が入ります。
そして売り込みに欠かせないのが商品名です。お客様に商品のよさを伝え、買いたくなる気持ちをかきたてなければなりません。そのために商品名での差別化は有効な戦略の一つです。
しかし商標登録については要注意です。ヘタすると、商品を売れなくなるリスクがあるからです。これは会社にとって、知らなかったじゃすまされません。そこで営業担当者がやってしまう商標登録の失敗例をご紹介します。
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商標登録前にプロモーションを開始
商標登録は、申請して登録されるまで平均6ヶ月かかります。でも営業担当者としてはいち早くプロモーションを取引先に仕掛けたいところです。プロモーションの仕方としては、プレゼンテーション、パンフレットの配布、サンプル品の支給、販促品の提供などがあります。
そして当然ながら、全てのものに商品名が付されます。そして積極的にネーミングをアピールします。商品の機能や効能を理解してもらうより、商品名を覚えてもらうほうが簡単だからです。
お客様としても商品名は商品を買う決め手の一つで、いいネーミングにこしたことはありません。またおもしろいネーミングだったら、他の人にも話しをしたくなるものです。商品名はプロモーションと切り離せません。
拒絶理由により登録不可
しかし悲しい知らせは突如やってきました。特許庁からの通知で、申請した商標では登録できないというものです。書類には「拒絶理由通知」なんて書いてあるし、絶望感が漂ってきます。
よくよく見ると、審査官が拒絶した理由は、似ている商標が先に登録されていたからというものです。たしかに似てるな~と感心したものの、よくよく考えばこれはマズい事態なんじゃないかと不安になってきました。
つまり似ている商標が先に登録されているということは、他人の商標権に引っかかっているということです。そしてそのまま突っ走って商品リリースしちゃうと、商標権という地雷を踏んでしまうことになります。
お客様には赤っ恥
そこでまずしなければいけないのは、プレゼン資料・パンフレット・サンプル品・販促品に付したネーミングの処理です。残り部数が少ないからって全部配りきっちゃうのは危険です。応急措置として、シールを上から貼り付けてネーミングを隠す方法もあります。
つぎにネーミングの再検討です。これにはまたかなりエネルギーがかかります。せっかく考えたネーミングが使えないので、新しい商品名を考えなければなりません。公募するとまた決定まで時間がかかるため、事業戦略としては痛いです。
一番痛いのは、お客様への弁解です。お客様にとって商標登録できるかできないかはとても気になるところです。なぜならお客様がその商品を売ると、商標権の地雷に引っかかり、最悪損害賠償というリスクもあるからです。
≪まとめ≫
商標登録できるかできないかは最終的に審査官の判断次第です。弁理士でも100%大丈夫という回答は出せません。でももし60%の成功率と事前にわかれば、40%のリスク対策はできるはずです。営業的にもリスクを把握した上でプロモーションすることが大切です。
2014年1月7日
著者 ゆうすけ
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