プライベートブランドの進化か?海外ブランドとライセンス契約して自社品開発!
最近、ABCマートの戦略が話題になってますね。海外ブランドと商標権のライセンス契約を結んだ上で、プライベートブランドとして販売しているのが成功要因とも言われています。
それってどういうことなんでしょうか?
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プライベートブランドの新たなビジネスモデル
・・・ABCマートでよく売れている、英ホーキンスや米VANSといった海外の有名靴ブランド。実はこれらはABCマートが商標権を取得し、自社で開発から製造、販売まで手掛ける自社企画品だ。こうしたプライベートブランド商品(PB)が売上高の半分を占めている。
<引用:2015/1/11 東洋経済オンライン 「ABCマート、異例の”高収益小売り”の秘密」>
プライベートブランドって、「セブンプレミアム」とか「ローソンセレクト」など、ブランドの立ち上げ・商品企画・製造販売を、自社で行っている商品のことを一般的には言いますよね。
ところがABCマートの場合、ホーキンスやVANSといった他社のブランド名を使っています。なので、これってプライベートブランドなの?って思ったんです。そこで調べてみたら、以下の記事を発見しました。
NBではあるものの、小売(屋号)の名前に頼らず、ひとつの独立したNBとしての認知度、地位を確立するブランド、いわゆる「ナショナル・プライベートブランド(NPB)」とでも言うべき商品開発が、今後、小売のPB戦略の潮流となるだろう。
<引用:2013/9/22 ビジネスジャーナル 「PB先進企業・靴のABCマート、驚異の戦略~ブランド単体と小売、2つの顔で相乗効果」>
なるほど~。ナショナルブランドとは、ずばりホーキンスやVANSのこと。つまりABCマート(小売店)にとっては他社の商品。従来の小売店ではナショナルブランドの販売が主流でした。
でもナショナルブランドだけじゃ儲からんし、品質の保持や商品の仕様変更もしやすいほうがいいじゃん!とわけで、プライベートブランド時代が到来したわけです(2008年には「セブンプレミアム」がヒット商品に選出)。
そしてさらにプライベートブランドの価値を進化させたのが、ABCマートが実践しているナショナル・プライベートブランド。集客力のある他社のブランド名を使う一方、自社で商品企画・製造販売を行うタイプです。
ナショナル・プライベートブランドの肝は、まずナショナルブランド(他社品の商標権)を独占販売できること。そこでまだ国内に販路がない海外のブランドが狙い目といえます。ABCマートの場合、平成3年(1991)に「VANS」の国内での独占販売権契約を締結しています(株式会社インターナショナル・トレーディング・コーポレーション 有価証券報告書より)。
また自社で商品企画OKの承諾をもらうことも大事でしょう。ブランド独自のデザインや機能の基準があれば、それを最低限クリアした上で自社オリジナルを加えることを許してもらっておかないと、後々気まずいはずです。
≪まとめ≫
今でさえABCマートの戦略が注目されてますが、実は「VANS」の独占販売権契約から24年経っているわけです。そう考えるとナショナル・プライベートブランド戦略は決して簡単ではありませんが、潜在的な国内市場を活用できるブランドを海外から発掘する価値があるかもしれません。
2015年1月14日
著者 ゆうすけ
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