有名になったら注意!普通名称化を防いだ「ゼロックス」から学ぶ商標管理の教訓
これもカン違いされがちなんですが、商標は登録すれば終了!ではありません。っていうか、それでは何のために商標とったの?ってことになります。
商標は商品やサービスに対する信頼を獲得し、それらの認知度をあげるためにあります。そして認知度が高まれば、パクられやすくもなる。だから守りましょう!というのが商標登録の目的。
でも認知度があがって怖いのは、パクられるだけじゃなく、その商標がみんなに使われて普通名称化してしまうことです。
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その昔、「ゼロックス」も普通名称化しかけた
ところが、1960年に状況は一気に好転した。そんな商品名で成功するだろうかという懸念は吹き飛び、関係者はむしろ成功しすぎることを心配するようになった。世の中では「ゼロックスする」という新たな動詞がやたらと使われるようになり、商標価値の希釈化を防ぐため、第三者によるゼロックス商標の使用を監視しなければならないほど製品が普及したからだ(61年、同社は「ハロイド」を削除して「ゼロックス・コーポレーション」と社名を変更した)。
<引用:2014/12/24 diamondonline 「ゼロックス、ゼロックス、ゼロックス、ゼロックス(1) 」
「□□□といえば△△△」、「△△△は□□□の代名詞」なんてよく言われます。□□□は普通名称、△△△は登録した商標です。
このように言われること自体は、商品やサービスの存在が知れ渡ったことを意味するので、好ましいことです。
ただこれを放置しておくと、「ゼロックスする」のように、新たな普通名称がユーザーによって作られてしまうんです。
ユーザーが使い始めたら、メディアもすかさず取り上げるでしょう。商品から生まれた新たな言葉の登場!なんて感じです。
こうなってしまうとなかなか収まりません。つまりみんなに使われまくって登録した商標の価値が下がっていく一方です。
そのためゼロックス社は、社名を変更して「ゼロックス」を強調しはじめたわけです。また「「ゼロックス」はゼロックス社のコピー機等を表す登録商標です」という文章も、パンフレットやホームページで表示したんじゃないでしょうか。
このように商標は、登録した後にもちゃんと管理しないと普通名称になってしまうリスクが潜在しています。それを防ぐ簡単な管理法は以下の2つです。
- 商標の横に®をつける
- 「「△△△」はXXX社の□□□等を表す登録商標です」と明文化する
こうしておくことで、登録商標が普通名称化しかけても、ひとまずはちゃんと管理している事実を主張できるでしょう。
≪まとめ≫
商標など知的財産権は、維持するのにお金と労力がかかります。無駄にお金をかけてないか?ちゃんと価値を維持する管理をしているか?など、登録後も考えることがたくさんあります。
2014年12月24日
著者 ゆうすけ
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