発明と発明者を大切に!名前負けしない真の知的財産立国になるためにすべきこと
中村氏のノーベル賞の話題で盛り上がってますが、これを機にまた職務発明制度の話題もちらほらでてきました。
photo credit: Stig Nygaard via photopin cc
中村裁判と職務発明制度と知的財産立国の関係
中村さんは、本書の最終章で「発明と発明者を大切にしない社会は、商工業の分野で大きな発展を見こめません」と訴えています。国家戦略として「知的財産立国」を掲げながらも、中村さんのような優秀な人材が、海外に流出してしまうのが現状。
<引用:2014/10/08 bookstand「ノーベル賞・中村修二さん ”スレイブ中村”と呼ばれた社畜時代」>
中村氏といえば、青色発行ダイオードの発明家であると共に、その大発明に対する評価が低すぎて勤務先の日亜化学を訴えて裁判を起こしたことで有名です。
日亜化学からの評価は2万円。裁判所の認定した評価が604億円。それに対して日亜化学も反論して結局は和解で約6億円。
知的財産の業界では、むしろ後者で有名。中村氏といえば、いわゆる「職務発明訴訟」とも言われているほどです。
なぜなら中村氏の裁判が切っ掛けで、法律が変わったからです(特許法第35条の職務発明制度)。平成16年だから、今から10年前です。
どう変わったか簡単にいうと、会社の評価が不合理じゃないことと、不合理な場合はそりゃないっしょ!っていえることです。大してかわってないようにも見えますよね。
でも10年前はこの規定すらなかったから、会社の言い値になってしまった、だから中村氏の悲劇が起こってしまった、とも考えられたわけです。だから、それじゃまずいよねってことで法律が改正されました。
それで約10年大きな裁判もなく一安心だね~と思いきや、会社側はその職務発明制度のおかげでヒヤヒヤしてるんだ!という産業界の声がありました。
というのも、1つの特許が何千億円(何兆円か?)にもバケる業界としては、もし第二の中村氏が出てきたらどうすんだ!会社つぶれるだろ!という言い分だそうです。
というわけで、10年ぶりに職務発明がまた変わるかもしれないわけです(内容はともかくとして、変わるのはほぼ間違いなさそう)。
でも中村氏の例や国家戦略として「知的財産立国」が名前負けしている現状を見ると、評価の面のみならず、制度やバックアップの面でも、発明と発明者を大切にすべきでしょう。
評価面は会社にがんばってもらうとして、制度やバックアップ面では知財の専門家ががんばらないといけないでしょうね。知財教育や情報発信など、発明者を下支すべきじゃないでしょうか。
<関連記事> 特許って必要なの?社会に対して知的財産の情報を発信し続けることの意義
≪まとめ≫
知的財産立国にするには人ありきです。発明者だけじゃなく、知的財産の専門家も成長しないと名前負けしたまんまではないでしょうか。ちなみに管直人元首相も中村氏の件をブログに書いていました。ちなみに菅氏は弁理士登録しています。
2014年10月8日
著者 ゆうすけ
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