スタートアップがシード期にすべきこととは?注目のインキュベーター・アクセラレーターが語るイベント講演レポート
第9回サムライベンチャーサミットのレポートの続きです。ぼくは知的財産の専門家としてスタートアップを応援するにあたり、資金調達と知的財産権(特許や商標)の取得は深い関連性があると考えています。そのためこのセッションをとても楽しみにしていました。
そこで「スタートアップが成功するために、シード期にすべきこと」というトーク内容の一部をまとめました。スピーカーは、サイバーエージェントベンチャーズ取締役・近藤裕文氏、インキュベイトファンド代表パートナー・村田祐介氏、MOVIDA JAPAN株式会社Cheif Seed Accelerator・伊藤健吾氏、サムライインキュベート代表取締役・榊原健太郎氏です。
Q.これから伸びそうな市場とは?
村田氏:アプリとかだけじゃない。2020年になにが起こるかを考えるといい。例えばインターネットがなくなったらどうなるか?とか。マーケットがなくても小さいポジションを獲得できればいい。
伊藤氏:身近なことからはじめてもデカい話になりかねない。ビックデータつかってなにかできれば面白いことができるかも。
近藤氏:注目はスペース(空間)マーケット。タクシーなら相乗り。畑ならシェア畑。お医者さんなら手の空いた時間。印刷ならラクスル。3Dプリンターも同じ方向にいくと想定。アプリをつくらなくてもできることはある。
榊原氏:オペレーションつくるのは大変だけど日本人は得意かもしれない。
Q.シード期にありがちな起業家の思い込みや間違いとは?
近藤氏:監督に徹するのはNG。CTOやデザイナーとやりあえるくらい社長がやれるとシード期は乗り切れるのでは。
伊藤氏:目線が低い。身近な何かを解決しようとしすぎているが、結局何がしたいかわからない人も多い。ピポッドしまくったり。
村田氏:軸を決め過ぎて変化できないスタートアップが失敗しがち。楽天やDeNAでも創業時と上場時と今のビジネスモデルって全然違う。マーケットをとらえて軸をぶらさずにやりかたを変えるべき。とりあえずモノをつくってやっちゃうパターンもあるけど、仮説と検証が大切なはず。仮説が検証しきれないなら次に展開するのかを考える。PDCAの「C」をしっかりやるべき。みんなの意見を聞きすぎてアウトプットできないのもNG。
Q.特許や商標など知的財産権の取得ついてどう考えるか?(タイミングなど)
村田氏:特許をとれるほどのアイデアはでにくい。でも商標は早急に取るべき。近々の例だと、某大手企業が商標登録していることが発覚したので、ドメインを変えざるを得なかったことがあった。
伊藤氏:村田氏と同意見。商標登録はすべきだろう。特許ならバイオとか。でも陳腐化する可能性もある。
近藤氏:日本はだいじょうぶだけど、米国に進出するなら訴訟対策として特許をとったほうがいい。
≪まとめ≫
インキュベーターやアクセラレーターのような人たちのおかげでスタートアップが活動しやすくなりました。実際に投資を望む望まないに関わらず、資金調達の知識やネットワークを持っていると、いざというときに心強いのではないでしょうか。
またその際に知的財産権を取得していると、少なからずプラスになるはずです。何を(特許?商標?など)、いつ(今?1年後?とか)、どこで(日本?北米?アジア?など)権利をとるべきかについて、資金調達の面から考えるのも大切です。なお最後の質問はセッション後の質疑応答タイムで僕が質問したことです。
2014年4月20日
著者 ゆうすけ
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