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2016年に注目の3つの知的財産の話題

公開日: : 最終更新日:2016/01/03 ビジネスモデル, 商標, 意匠, 特許

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明けましておめでとうございます。2016年もいよいよ幕開けしました。今年も知的財産のネタをわかりやすく発信していきますのでどうぞよろしくお願いします!

早速ですが、年明け一発目の記事では、注目したい知的財産の話題について書いています。注目したいと思う主な観点は、日本経済との関係性、事業としての発展性、個人的な期待性の3つです。

photo credit: taormina sunrise via photopin (license)

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モノのインターネット(Internet of Things、IoT)

ご存じのとおり、IoTは昨年の注目キーワードにもなりました。インターネットにつながっているあらゆるモノからユーザーに関するデータを検出し、そのユーザーに対して新たな価値を提供する思想です。

このようなIoTの思想自体に新しさはありません。ところが、今までは単なる道具として使っていたモノからインターネット経由でユーザーのデータを取り、活用する具体的な仕組みに新しさがあるはずです。

例えば、2015年にリリースされた「JINS MEME」もIoTの一つで、すでに特許が取得されています。

『JINS MEME』は特許取得済みの3点眼電位センサーと6点軸センサーと搭載した「世界初、自分を見るアイウェア」。瞬きや身体の動きを測定し、取得したデータがBluetoothでスマートフォンのアプリと連動して応用される仕組みになっています。

<引用:2015/11/2 「ココロとカラダの状態が測定できる! センシングアイウェア『JINS MEME』は11月5日に発売 11月3日に先行発売も決定」>

さらに、メガネにつけたセンサーで瞬目(まばたき)を検出するという発明も、特許出願されています。(特開2015-213734等)。まばたきのデータをスマホのアプリで分析し、その結果から導く提案や解決策をユーザーに提供する仕組みです。

その他の会社でも、例えば、製造ラインをIoT化して装置の不具合を早期発見する仕組みも研究開発されているようです。このように、新たなビジネスモデルとしてIoTが今年もどんどん生まれるのではないでしょうか。

デザインプロダクト

デザインには、アートの要素(見た目や感性の良し悪し)だけじゃなく、テクノロジー(構造や機能の良し悪し)の要素もあります。テクノロジーの要素を追求したデザインを、一般的には「工業デザイン」というのかもしれません。

「工業デザイン」自体は以前からある考え方です。しかしながら、美しさに加え、使いやすさやスペック(性能)を兼ねそろえ、ユーザーにパラダイムシフトを起こさせるには、”デザインの深掘り“が必要になってきました。

近年のデザインプロダクトの代表格といえば、アップルのiPhoneやiPodでしょう。本体ケースの外側だけじゃなく、内側やホタン用の穴の形状、部品の種類や設置位置、画面上のアイコンの配列などを見ると、外面(そとづら)さえよければいいわけではないことを痛感します。

もちろん、デザインを極めても生産性(量産できるかどうか等)に問題があっては本末転倒のため、量産上の課題なども解決するデザインにする必要があります。だから、デザインプロダクトは奥深いわけです。

例えば、デザインを深掘りしたことがヒット商品の要因の一つと考えられ、2015年も話題になったのが「バルミューダ」の製品です。2015年では同社のトースターがグッドデザイン賞に選ばれています。

このように、深掘りしたデザインを知財として保護する傾向は、2016年も継続するのではないかと考えています。ちなみに、 バルミューダが登録している意匠の一覧は以下です(2016/1/1 J-PlatPat調べ)。 

 

地域の知的財産活動

実際、日本国内の知的財産活動の大部分が、都心部の企業で行われています。例えば、特許出願の件数でいうと、約9割が大企業によるものです。そして、大企業のほとんどは、東京を含む首都圏や名古屋や大阪にあるからです。

でも、長年日本を支えてきた大企業の事業モデルは軒並み破たんしているため、日本の将来性を考えると、地域の中堅・中小企業も大企業に依存する体質から脱却しなければならないはずです。

地域の知的財産活動にもいろんな形態があるはずです。アップルに技術を提供した燕三条の研磨会社のように伝統の技法を新たなモノづくりに活かしたりエリアや歴史・文化を活かして外部からの流入を増やしたりもできます。 

中小企業庁と特許庁は2016年2月2、3の両日、那覇市で中小企業向けイベントを開く。2日は海外展開や地域資源活用をテーマにした「一日中小企業庁in沖縄」、3日は「巡回特許庁in沖縄」をそれぞれ実施する。いずれも沖縄県開催は初めて。

<引用:2015/12/31 「中小企業庁と特許庁、沖縄で初めて中小企業向けイベントやります!」>

つまり、単に知的財産活動として特許や商標を登録するんじゃなく、地域の強みを活かす動きが必要であり、その動きに伴って知財として保護すべき部分はどこか?その保護の仕方はどうするか?を考えるのが、地域の知的財産活動のあるべき姿ではないでしょうか。

そのような観点でいうと、上述した沖縄のイベントは有意義な活動だと思います。沖縄の地理的メリットや歴史・文化をアピールし、外部からの流入を増やすことで、新たな知財が生まれるのみならず、工芸品なども注目されるためこれらの価値が上がるのではないかと推測しています。

≪まとめ≫

今年のメジャーなテーマとしては、TPP(主に著作権)や新たな職務発明制度の施行などがあります。こららももちろんですので、随時発信していくつもりです。ただ、個人的には創作に紐づく知的財産活動に興味があるため、IoT、デザインプロダクト、そしてこれらを含む地域の知的財産活動に特に注目したいと思います。

2016年1月2日

著者 ゆうすけ

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