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親と子の「伝える技術」から学ぶ、コミュニケーションで失敗する5つの理由

公開日: : 最終更新日:2014/01/03 おすすめ本, 教育論 , , , ,

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なぜこのようなタイトルの書評を書くかというと、この本が親と子ばかりでなく、上司と部下、友人、恋人、夫婦の関係にも応用できると思ったからです。とてもわかりやすいため、即実行できると思います。

そこで親と子の「伝える技術」(三谷宏治著)から学ぶ、コミュニケーションで失敗する5つの理由をピックアップし、なぜ失敗していたのか?どうすればうまくいくのか?をまとめました。

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理由1 コトバが足りない


言わなくてもわかるでしょ!というのは最悪です。テレパシーでもない限り、言わないとわかるはずがありません。

子どもに伝わらないのは、伝えたいことが曖昧だからです。「もっと勉強しろ」と言われても、子どもには「もっと」ってなんだかわかりません。「勉強しろ」と言われても、「どう」勉強したらいいのかわかりません。(16p)

親と子や上司と部下は、上限関係があるため、親や上司はどうしても上から目線になりがちです。いちいち言わすなよ~って思う気持ちもわかりますが、そこは子どもや部下の気持ちになってみてはいかがでしょうか。

人は大抵、昔やられて嫌だったな~ってことを、自分でもしてしまいます。そうならないよう、子どもや部下は目上を敬う気持ちが大切だと思います。

なお本書では、ちゃんと文章で話をする「脱ワンワード週間」という手法を提案しています。

理由2 言い分をちゃんと聴かない


なんでわかってくれないんだ!と嘆いている人ほど、人の話をちゃんと聞いていません。なぜ伝わらないのか?を悩む前に、相手の言い分を聞いているか確認しましょう。

伝えることは、まず聴くことからです。まずは「前提」の確認(聴く)から。そしてその都度、子どもの言い分を聴くことを忘れずに。そこで初めて、子どもは「伝わる」モードに入るのです(18p)

上司と部下の関係でも同じです。大抵の上司は、部下がしたことの理由を問いません。企画書のデキが良い・悪いと評価する前に、なぜそのような企画にしたのかを聴かなければ、ちゃんとした評価などできないはずです。

また恋人同士で感情的になると、すぐに強い口調になったり問いつめたり勘違したりしてしまいます。冷静になって相手の言い分を聴ければ、簡単に解決できる言い合いばかりのような気がします。

なお、話す・聴くのテクニックの基本は、5W1Hです。

理由3 努力や成果をほめない


最近の若者は叱ると落ち込んで打たれ弱い、と年配の諸先輩方がよく口にしますが、そういう自分たちはどうだったのでしょうか。叱るべきところを判断せずに、なんでもかんでも叱ればいいと思うのは、愚の骨頂です。

うまくいっている職場や夫婦の場合、その会話の「ポジティブさ(前向き・たのしい)」は、「ネガティブさ(後ろ向き・つらい)」の3~5倍以上だといいます。・・・上手に伝えるには、まず上手な「ほめ方」からです。・・・こちらの価値観で勝手にほめるのではなく、子どもの価値観に寄り添ってほめてあげましょう。お小言はその3分の1以下で!(20p)

ほめない理由は、自分の価値観で見ているからではないでしょうか。つまりそんなことはできて当然だと勝手に判断する自分目線。自分の常識は相手の非常識、これは親子だろうが上司部下だろうが恋人だろうが同じです。

理由4 口出しばかりしてまかせない


本当にちゃんとできるかな?と心配になるのはよくわかります。しかしその心配だけに留まらず、口出しや手とり足とり教えてしまうのは、かえって相手のためになりません。

結局、子どもも大人も同じですが、やる気を引き出す任せ方とは、難しいテーマに取り組ませる、自由にやらせる、任せるルールをハッキリさせて覆さない、という任せ方なのです。そして、親の役割とは、その失敗の責任をとることなのです(26p)

口を出し過ぎると、言われた方はその通りにしかできなくなってしまいます。つまり考える行動をしなくなってしまいます。任せるからこそ、自分で考えてやらなければならない、と自覚します。

失敗の責任をとるというのは、失敗しても動揺しない・叱らない・見放さないという解釈ととらえています。つまりは受け入れる姿勢が大切という意味です。

なお本書では、日本サッカー協会の例(32p)や長友佑都選手の例(156p)ばかりでなく、子どもへの過干渉が招く非行の例(148p)も記載してあります。口の出し過ぎは教育上良くないと考えたほうがよさそうです。

理由5 コミュニケーションを楽しんでいない


結局最後は、本人が楽しんでいるかどうかです。めんどくさいな~と思えば、顔に出て相手にもその気持ちが伝わってしまいます。

子どもになにかをさせたいのであれば、もっと簡単な方法があります。それは親が楽しそうにそれをやればいいのです。食器洗いもお掃除も仕事でも、楽しげにやって見せれば、子どもたちは必ず興味を示します(124p)

自分がやりたくないことは、相手もやりたくないはずです。なぜなら任された感覚がしないからです。ただ単に雑務を押し付けるのは、なんの教育にもなりません。

職場の書類整理やコピーなど、雑務には雑務なりの大切さやテクニックがあります。また雑務でも、得意な人と苦手な人がいます。

得意な人には強みを強化する意味で、オリジナルの整理術の考案など頼んでみたら面白いかもしれません。一方、苦手な人には、なぜ苦手なのか?なぜ失敗するのか?をちゃんと聞いて、短所を長所に変えるフォローが必要です。

まとめ


相手の立場になっていなければ、どんなにテクニックを学んでも意味がありません。コミュニケーションは相手合ってのものだからです。

親子も上司部下も、いい意味で上下関係を作らず、伝え技術を双方で学ぶ姿勢が大切だと思います。

親と子の「伝える技術」(三谷宏治著)

2013年6月4日

著書 ゆうすけ

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