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ジェネリック家電のコピーを防ぐ特許戦略

公開日: : 商標, 商標戦略, 意匠, 特許, 特許戦略

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photo credit: blood test via photopin (license)

「ジェネリック家電」とは、ジェネリック医薬品(特許切れを狙った後発医薬品)から得たネーミングだそうです。というと、商品にオリジナル性はないのかな~と思っていました。

ところが、ジェネリック家電メーカーは、量の多い少ないはあるものの、どの会社も特許戦略に励んでいます。やぱり「ジェネリック」だけにコピーされやすいということでしょうか?

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ジェネリック家電は特許で守られている

ジェネリック家電のメーカーではKOIZUMIのほかにも、アイリスオーヤマ、船井電機、山善、ツインバード工業などが知られている。

こうしたメーカーは一般的に、機能設定や価格などの製品企画に特化し、生産を中国など海外の会社に製造委託することで製造コストを下げている。この商品企画では、大手メーカーのナショナルブランド製品をベンチマークにすればいいので、製品開発費や調査費を抑えることができる。

<引用:2016/3/14「注目のジェネリック家電メーカー「KOIZUMI」の強み」ZUUonline>

「ジェネリック」と聞くと、特許切れ・後発・ブランドがないという印象が強いかもしれません。たしかに、ナショナルブランドの後追いによって企画・開発された商品が多いとは思います。

ところが、ナショナルブランドと全く同じわけではなく、実はオリジナル性も盛り込まれています。商品点数が増えれば増えるほど、技術ノウハウが蓄積され、オリジナル性もそれに比例して高まっていくのかもしれませんね。

商品のオリジナル性が豊富という事実については、特許や商標や意匠の登録件数からも裏付けられます。 以下は、特許庁のデータベース(J-PlatPat)での検索結果です。

左から、特許、商標、意匠の登録件数です。権利毎の登録件数の違いから、各社の商品の違いがザックリ見えてきます。

例えば、アイリスオーヤマの場合、商標と意匠の登録件数が多いことから、消費者向けのデザイン性の高い商品(デザインプロダクト)がメインと推測できます。

商品名やデザイン(見た目)はパクられやすいため、コピー品も出やすいわけです。だから商標登録と意匠登録でコピー品が出たら権利行使(販売の差止請求など)をしているんでしょう。

プラスチック加工品に新規参入した初期のころは、他社の権利を意識することなく製造販売していたところ、権利侵害として警告されることが多かったという。こうした経験を重ねて徐々に知的財産権に力を入れていき、やがて実用新案や意匠を出願するようになり、自社のオリジナル な商品として権利を主張するまでになった。市場に対する権利行使の効果として、模倣品の排除に比例した売上が確保されている。

<引用:特許庁「知的財産権活用事例集2014」  アイリスオーヤマ株式会社>

一方、船井電機は特許の件数が圧倒的に多いようです。つまり、企業向けの機能性の高い商品がメインと推測できます。商標登録の件数が少ないということから、商品名がないか、もしくは商標登録する必要がない商品名を使っていると思います。

船井電機はファブレス経営でも有名な会社なので、その分特許が重要な意味を占めてきます。例えば、商品の製造委託契約時に特許権があれば、委託先の製造会社が製造以外の使用(他社への製品の販売など)をできないようにすることも可能です。

≪まとめ≫

ハイエンド品を全て自前で企画・開発・製造・販売する従来のビジネスモデルから、製造コストの安い会社に製造を委託したり、ナショナルブランド商品をベンチマークしたりすることで、全体のコストをおさえて他社と違うローエンド品を販売するビジネスモデルが高利益を生む時代になりました。

「ジェネリック家電」は単なる後追いではなく、時代に合わせてユーザーが求めているものを適正な価格ですばやく提供するできるという点においては、画期的なビジネスモデルなのかもしれません。

2016年3月15日

著者 ゆうすけ 

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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