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技術ノウハウを経営に活用できている会社のほうが提案力に長けている理由

公開日: : ビジネスモデル, 特許戦略

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公官庁が提供する調査結果や資料は内容が充実しているため重宝しています。先月(2016/2/10)には、東京商工会議所から中小企業向けの知的財産関連の資料がリリースされました。

リリースされたのは、調査報告書ガイドブックです(それぞれPDF資料にリンクします)。そこで今回は、「提案力」に関する調査結果について考察しました。

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技術やノウハウと提案力の因果関係とは?

○技術やノウハウを「経営に活用できている企業」と「経営に活用できていない(活用 したい)企業」を比較すると、「経営に活用できている企業」は「提案力」を強みと している割合が高く、「経営に活用できていない(活用したい)企業」は、「短納期」 「低価格」を強みとして挙げる割合が高い。

<引用:中小企業の戦略的知的財産活用に関する調査報告書(6頁目)>

これはとても真をついた調査結果ではないでしょうか。「提案力」を強みとしている企業の割合は、「経営に活用できている企業」では40.3%、、「経営に活用できていない(活用したい)企業」では27.7%です(具体的な数値は19頁に掲載されています)。

ひとえに、技術やノウハウを「経営に活用できている企業」が「提案力」を強みにしている理由は、お客様に提案できるネタがあるからではないでしょうか。

センサー大手のキーエンスは、提案営業で高収益を得ている企業として有名ですよね。自前の技術やノウハウを活かし、お客様の課題を解決する提案に基づき、それをカタチ(製品化)にする。これにより、また新たな技術とノウハウが蓄積されるわけです。

“モノ”売りの時代から、“価値”売りの時代に移行し、企業の営業スタイルも変わったはずです。そしてお客様も、商品そのものではなく、その商品の価値(課題の解決力など)を買っているのでしょう。

つまり「提案力」がある会社とは、お客様が求めている価値を提供できる会社であり、メーカーの場合、その価値を提供するには、技術やノウハウが不可欠なはずです。

もちろん、QCDという言葉があるくらいですから、Cost(価格)やDelivery(納期)は、企業の強みの一つです。リードタイムを短くして素早いレスポンス体制を構築することが、これからの企業競争力に大きな影響を与えるといわれています(「トヨタ生産方式の逆襲」より)。

しかし、これだけでは永続的な会社経営は厳しいのではないでしょうか。常に目の前の稼ぎのみを追い求める体質になってしまい、従業員も疲弊してしまいます。これを続けては、高収益事業への転換はますます困難でしょう。

「下町ロケット」の佃製作所に置き換えるとわかりやすいです。主力製品であるステラエンジンのみならず、ロケットに不可欠なバルブシステム開発の技術ノウハウは、帝国重工を上回るレベルでした。さらにこの技術ノウハウを活かして、心臓人工弁の開発につながりました。

佃製作所の場合は、さらにバルブエンジンの特許を持っていたことがプラスとなりました。会社の強みとなる技術ノウハウを知的財産権化したことによる他社にできないオンリーワンの提案力が、佃製作所の最大の強みではないでしょうか。

ただ、「提案力」を強みにするために、「提案」のテクニック取得に走ってしまわないように注意が必要です。順番としては、会社の技術ノウハウの洗い出し → 強み(他社に勝っている点)の明確化 → 「提案力」の鍛錬、でしょう。

ちなみに、強みの明確化については、東京商工会議所が提供しているガイドブック「企業の強みを活かす~知的財産の力で会社の成長を」の18頁が参考になると思います(例:「○○○○○○を可能にする●●●」)。

≪まとめ≫

何でもやります!というのは、提案にはなりません。会社の軸をぶらさず、強みを活かした提案こそ、お客様が求めていることです。また、どの会社でもできることは強みにならないため、お客様も価格や短納期のみを要求し、これに見合わなければ注文は得られないでしょう。

ちなみに、経営コンサルタントの小宮一慶さんが提唱するQPS(Quality、Price、Service)によるシェア奪取の考え方が個人的にはとても参考になりました。

2016年3月2日

著者 ゆうすけ

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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