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『下町ロケット』第6話から学ぶ、退職した元従業員による技術情報の横流し対策

公開日: : ビジネスモデル, 特許

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ドラマ『下町ロケット』の後編(ガウディ計画)が先日(2015/11/22)スタートしました。サヤマ製作所との対決や心臓の人工弁開発など、今後も目がはなせない感じです。視聴率は17.8%でした。

そこで後編も、特許をはじめとする知的財産の世界について知らない方なら不思議に思ったかもしれないポイントを勝手に解説します。ちなみに今回は、退職した元従業員による技術情報の横流し対策です。

photo credit: Engaging with FEMA Employees via photopin (license)

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設計データをライバル会社に横流していいの?

佃製作所勤務の元従業員(中島)が退職するとき、技術部長(山崎)が考えた新しい人工弁のアイデアを盗んでライバル会社(サヤマ製作所)に横流ししていました。

実は、このような技術情報の横流し事件は実際に起こっています。最近注目された大きな事件といえば、新日鐵住金(日本)vsポスコ(韓国)でしょう。

技術情報のみならず、社内情報がライバル会社に横流しされた場合、例えばライバル会社に顧客情報が漏れたり、開発中の製品を先に製造販売されたりします。

ところで、会社の社内情報の横流しがいけないこと(=法律違反)とわかっていても、法律違反であると主張するための根拠がなんの法律かを、ご存知ですか?

このような場合、不正競争防止法を根拠にして、横流しが法律違反(不正競争)であることを主張できます(不正競争防止法第2条第1項第4~10号)。

さらに、この法律違反によって会社の利益を侵害された場合、ライバル会社の違法行為をとめることができます(不正競争防止法第3条第1項)。

ライバル会社の違法行為はとめるには?

ところが、ライバル会社の違法行為をとめたくても、横流しされた社内情報が会社の「営業秘密」であり、だから利益を侵害された!ということを客観的に証明しなければなりません。

社内情報には、例えば、経営情報(プロジェクト計画、顧客リスト、財務・会計など)や技術情報(業務プロセス、制御プログラム、設計図面など)があると思います(以下、イメージ画像)。

これらは会社にとってどれも大切であり、横流しされては困るはずです。

つまり、これらの社内情報を「営業秘密」として管理することが、不正競争防止法を根拠としてライバル会社の違法行為をとめる条件となります。

ここで、不正競争防止法上の「営業秘密」の定義をご紹介します。

○(不正競争防止法における営業秘密の定義)
・不正競争防止法(以下、「法」という。)第2条第6項は、営業秘密を
①秘密として管理されている[秘密管理性]
②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報[有用性]であって、
③公然と知られていないもの[非公知性]
と定義しており、この三要件全てを満たすことが法に基づく保護を受けるために必要となる。

<引用:経産省「営業秘密管理指針」p2※全部改訂:平成27年1月28日>

特に重要なのが①秘密管理性です。しかし、どういう状態であればこの条件を満たすかという厳密な条件はなく、来年(平成28年)以降、その条件は緩和される予定です。

例えば、各情報に関する資料やデータにマル秘表示したり、資料なら施錠付きロッカーで管理したり、データならパスワード設定したりして、その秘密具合が客観的にわかる程度であればOKと判断される方向です。

≪まとめ≫

社内情報をライバル会社に横流しすることは、不正競争防止法違反となります。しかし、不正競争防止法違反であると主張するには、社内情報を「営業秘密」として管理しなければなりません。管理がずさんだから横流しされたほうが悪い!ということにならないよう注意が必要です。

2015年11月24日

著者 ゆうすけ

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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