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個人発明家として成功するために参考となる野口五郎氏の特許活動

公開日: : 最終更新日:2015/11/18 特許, 特許事例研究

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『下町ロケット』で中小製造業の特許戦略が話題になっている中、個人発明家として有名な野口五郎さんの特許についても先日の記事で紹介されていました。

このブログでも野口さんが発案した『テイクアウトライブ』の特許戦略についてご紹介したことがありますが、画期的なビジネスとして今なお注目を集めています。※『テイクアウトライブ』とは、ライブでの歌や曲の音源データを自分の携帯端末にダウンロードして楽しめるサービスです。

さらに、野口さんの特許出願の状況を特許庁のデータベースで見てみたところ、新しいアイデアでさらに進化した『テイクアウトライブ』の特許化にチャレンジしているようです。これらは個人発明家にとっては参考になる活動内容だと思います。

そこで、個人発明家が成功するために参考となる野口五郎氏の特許活動について、ポイントとなる点を3つにまとめてご紹介します。

photo credit: Puggy Live Concert @ Brussels Summer Festival BSF-5189 via photopin (license)

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アーティストが抱える問題に注目

特許をとって企業に売り込むことを考える前に、まずは世の中にある問題点(XXXしにくいこと、XXXできないことなど)に注目する必要があります。

なぜなら、世の中の問題を解決するアイデアこそ魅力的な(売れる見込みのある)商品となり、さらにこのようなアイデアこそ特許で守る価値があるからです。

野口さんの場合、自分がアーティストということもあって、アーティストならではの悩みを問題視した点が参考になります。つまり、手間のかかるCDの手売りを問題視し、ライブの歌や楽曲をダウンロードできる仕組みづくりを課題と設定したわけです。

そして、この課題を解決するアイデアとして、QRコードで携帯端末に音源データをダウンロードできるシステムを発案し、アーティストの著作権も守れるサービスが生まれました。

このように、まずは世の中の問題に注目すると共に、何が課題なのかをちゃんと整理することが大切です。

新しいアイデアでさらに特許化にチャレンジ

ビジネスを展開する上で、特許が1件もないよりはマシですが、特許が1件では心細いのも正直なところです。なぜなら、その特許さえ回避できれば、ライバル会社はパクリ品をつくれるからです。

そこで理想は、1件目の特許をさらに上回るアイデアで2件目、3件目の特許獲得にチャレンジすることです。この点も野口さんの活動内容が参考になります。以下、野口さんによるテイクアウトライブの新しいアイデアについての特許申請状況です。※2015/11/16現在

ここで、新しいアイデアで特許をとるために少なくとも必要な3つのステップをご紹介します。

1.既存アイデアの問題点の洗い出し(仕組みの不都合、製品構造の不具合、製造工程の不便など)
2.既存アイデアの問題点をクリアする新規アイデアの立案(仕組みの再編、構造の改良、工程の変更など)
3.新規アイデア実現による効果の明言(コストダウン、商品価値向上、作業効率上昇など)

これらを野口さんの特許申請(No.2)の内容にあてはめると、以下のようになります。

ステップ1では、既存アイデアとして、取得済み特許(番号4859882)の内容にふれています。つまり、特許をとったけど、時代の変化に伴いその特許が抱える問題点(通信費、通信トラブル)に着目しています。

つぎにステップ2では、新規アイデアの立案として、ビジネスモデルを実現するシステム(ユーザ端末1、サーバ2、配信媒体4、コンテンツ格納データベース212など)について説明しています。

最後にステップ3にて、新規アイデア実現の効果として、DVD製作が不要、販売コストを抑える、著作権の不利益が生じないという点をあげています。

このように、特許をとっていたとしても、その特許に依存せず、改良版のアイデアで新たな特許獲得にチャレンジをすることが大切です。

特許のアイデアで類似のビジネスモデルを構築

そもそも「テイクアウトライブ」は、アーティストのライブの歌や楽曲を携帯端末にダウンロードし、その場で聞けるというサービスでした。しかしこれのアイデアに基づいて、類似のサービスも展開しています(以下、「テイクアウトライブ」のサイト画面引用)

例えば、披露宴やスポーツイベントの当日の映像を直後にダウンロードできるサービス。Youtubeなどにアップロードすれば視聴できるかもしれませんが、閲覧制限の手間や著作権の保護に関する問題が発生します。

その点、「テイクアウトライブ」なら、音楽や映像をスマートフォンなどでダウンロードできる基本機能を特許化しているため、類似のビジネスモデルとして展開することができます。

このような具体的なビジネス展開を当初(2008年ごろ)から想定していなかったとしても、特許を出すときには可能性のあるビジネス展開をみこして特許の範囲を設定することが大切です。

≪まとめ≫

個人発明家が成功するために参考となる野口五郎氏の特許活動の3つのポイントをあらためて列挙します。

1.アーティストが抱える問題に注目
2.新しいアイデアでさらに特許化にチャレンジ
3.特許のアイデアで類似のビジネスモデルを構築

特許をとって企業に売り込もうと考えている個人発明家の方には、これらをご自身のアイデアとビジネスにあてはめて青写真を書いてみることをおすすめします。

2015年11月18日

著者 ゆうすけ 

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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