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特許を出願する5つの目的とは?ライセンス収入を期待しすぎるとガッカリする!

公開日: : 最終更新日:2015/05/10 特許, 特許戦略

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なんのために特許を出すのか?意外と語らていないのではないでしょうか。そんな感じでとられた特許だと、維持費用だけ垂れ流すことになりかねません。実は必要ないのに。

特許は儲けるためにある!そうあるべきですが、はじめからライセンス料収入を期待しすぎると、ガッカリすることもあります。儲かるかどうかは市場が決めるからです。

そこで、特許を出願する目的を5つにまとめました。これらの目的は1つに絞る必要はなく、複数あってもかまいません。目的設定が、その後の活動の潤滑油になるはずです。

photo credit: Behind the net via photopin (license)

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自社商品を守る

一番スタンダードな目的です。商品をパクられたら、特許もってるぞ!っていってやめさせる(権利行使する)ことができます。だから、パクられやすい商品なら、これを特許出願の目的とすべきです。

逆に、パクるのがむずかしい商品(カラクリを分析不可能なモノ)は、自社商品を守ることを目的として特許を出しても意味がないし、むしろ特許を出さないほうがいい場合もあります。

なお、B to Bビジネスやカスタマー向け商品の販路獲得(小売店など)の条件として、特に大手企業では、特許をとっていること(又は他社の特許を侵害していないこと)が提示されることがあります。

ライバル会社をけん制する

知財管理をしているライバル会社なら、あなたの会社の特許はおそらくチェックしています。つまり、ライバル会社としても特許侵害のリスクを恐れているわけです。

そのため、ライバル会社をけん制することを目的として特許出願するのもありです。この場合、特許の範囲が広ければ広いほど、ライバル会社はあなたの特許の網から逃れにくくなります。

ライバル会社に特許をとらせない

ライバル会社は、特許のみならず、あなたの商品の分析もしているでしょう。特に売れてる商品なら、どんな特徴があるのか?パクれるところはないか?を分析しています。

さらに、新商品を開発したら、ライバル会社のオリジナル品として特許を出願する可能性もあります。つまり、他社の特許を参考にして自分の特許をとる作戦です。

これを防ぐには、ライバル会社が開発しそうな商品のアイデアについても、先に特許を出し、さらにそのアイデアを公開すれば、特許をとれなくできます。

従業員へのインセンティブ

会社にとって従業員の評価は大切です。営業職は売上の積み上げで評価しやすいけど、技術職は売れるかどうかわからない製品開発に対して評価しにくい実情があります。

これについては、特許出願を一つの評価ポイントにすることもできます。例えば、特許のアイデアを提出したら加点、出願に至ったら加点、特許がとれたら加点、さらに特許の商品が売れたら加点、というイメージです。

これにより、特許がノルマ化されて質が下がるのでは?と言われそうですが、ノルマにせず自己啓発として特許出願の意欲を高める文化づくりも会社にとっては大切です。 

対外的なアピール

特許をライセンス収入(特許の使用料)や譲渡(特許の売り渡し)に結びつけるには、売れてる完成品やなくてはならない部品にように、商品価値そのものを高める必要があります。

そこで、特許を出している事実や特許が認められた事実を商品価値の向上に利用することもできます。なぜなら、これらの事実が取り引きの条件になりつつあるし、企業コンプライアンスが重視される時代だからです。

≪まとめ≫

特許を出すメリットは沢山ありますが、出すとその内容がオープン(公知)になることを忘れてはいけません。特許の内容は、ライバル会社にとって価値ある情報です。情報漏えいが社会問題になっているため、この点は慎重に検討し、特許を出すと決めたらスピーディーに準備することをオススメします。

2015年5月9日

著者 ゆうすけ

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