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特許審査の進み具合はどこを確認すべき?ライバル会社の戦略を分析するヒント

公開日: : 特許, 特許戦略

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主要国における特許審査の進み具合が確認できるようになるようです。 

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特許審査の進み具合のどこを確認すべき?

特許出願内容の詳細は引き続き公開しないが、審査の進み具合を確認できるようになる。企業にとっては、競合相手に対抗する特許を出願したり、重複の恐れがある技術の開発を中止したりするなど知的財産の戦略を立てやすくなる。

<引用:2015/3/5 「特許審査、誰でも閲覧可能=6月にも日米欧中韓」by 時事通信>

特許をとるには審査を通過しなければなりません。スムーズにいくこともあれば、手こずることもあります。たとえ手こずっても、重要な特許はなんとしても取りたいものです。

そんな力の入れ加減が特許審査の進み具合である程度わかります。重要な特許とは、事業活動に直結する特許とも考えられるからです。

そこで日本の特許審査の進み具合のうち、まずはここを確認したほうがいい!という点をまとめました。 ちなみに、以下の画像は某IT企業がとった特許の審査の進み具合について、特許庁が公開しているものです。

出願審査請求をしているか?

特許出しても、出願審査請求をしなければ特許になりません。中には、特許にする気がないのに出すだけ出すパターンもあります。ライバル会社に特許を取らせないためです。

もし出願審査請求がされていたら、審査の結果(特許 or 拒絶理由)が1年前後に出る可能性があるので、定期的にウォッチして状況確認してもいいかもしれません。

いつ出願審査請求をしたか?

出願審査請求は、特許を出してから3年以内にしないといけません。よくあるのが、3年が過ぎるギリギリに出願審査請求するパターンです。

期限ギリギリにする理由としては、あまり特許に執着していない、出願中(特許になるかならないかわからない状態)にしておいてライバル会社をビビらせる、などがあります。

一方、売れ筋商品で早く特許にしたい!という場合は、出願してまもなく(又は同時に)出願審査請求することもあります。このような特許は要注意といえるでしょう。 

拒絶理由通知に対してリアクションしているか?

申請された特許に対して審査官がダメ出し(拒絶理由通知)することはよくあります。拒絶理由通知を受けたら、リアクションしないと特許はとれません。

リアクションの一般的な仕方は、拒絶理由に納得できないから審査官とガチでやり合うか、特許の内容を補正して拒絶理由を解消するか、です。

リアクションをする場合、自分の考えを主張する書面(意見書)や特許の内容を補正する書面(手続補正書)を提出します。そのため、意見書や手続補正書が提出されていたら、特許をとる気満々と推測できます。 

どんな拒絶理由か?

ダメ出し(拒絶理由通知)で多いのが、他の技術を組み合わせれば容易に想い付くからダメ(進歩性違反)という理由です。コロンブスの卵のようなもんです。

この理由に対して、審査官とガチでやり合うよりは、特許の内容を補正したほうが(手続補正書を提出したほうが)、特許になりやすいです。

でもその分、権利の内容が狭くなる可能性が高まります。これヤバい特許だな~と思っても、最終的に認められた特許はそこまで怖いものではなかった、ということもあります。

いつ特許になったのか?

ライバル会社が特許を取ったということは、基本的に特許を活かして何かしらやろうと考えているのが普通です。新しい特許ほど注意したほうがいいでしょう(中には、数年寝かしておくこともありますが。。。)。

また古い特許の場合、捨てていいかわからず単に維持費用を支払っていることもあります。大きい会社ほど、担当者の入れ替えなどが影響して、特許維持の目的ってなんだっけ?なんてことがあるんです。

≪まとめ≫

特許審査の進み具合をどの程度閲覧できるのかによって対策の立て方もかわります。グローバルに事業を展開する場合、ライバル会社の情報収集は大切だけど、コストもかけられません。その点、特許審査の情報は、コストかからないわりにけっこうクリティカルな情報だと思うので、費用対効果は高いんじゃないでしょうか。

2015年3月6日

著者 ゆうすけ

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