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アップル「iWatch」は日本で商標登録できるのか?現状と考察(2014年5月末時点)

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 商標事例研究, 商標戦略

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一時話題になったテーマについて以前まとめた復習(今までの経緯)と日本での状況を整理しました。

photo credit: zumtobel design via photopin cc 

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今までの経緯

会社が有名になると新商品のリリースを超極秘に進めるんでしょう。「iWatch」も世界中が注目しているため、うわさが先行しないようにしているのかもしれません。だから商品名や技術といった知的財産の保護活動も水面下で行いたかったわけです。 

しかし特許や商標を出願すると、その事実がオープンされます。その制度と運用はアメリカや韓国など先進国では共通しています。アップルの本音としては、この情報すら隠しておきたかったわけです。なぜなら知的財産を守るってことは、その商標をつかって商品販売する可能性が濃厚ってことを発表するようなものだからです。 

そこでアップルは「iWatch」を商標登録するために、まずジャマイカに出願しました。なぜなら誰よりも先に出願した日を確定したかったからです。さらにジャマイカは先進国のようにインターネットで出願情報を公開するシステムが充実していないため、情報公開を遅らせるのに都合がよかったわけです。 

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アップル「iWatch」、最新の動きを商標と特許の申請からいち早く探る方法

日本での状況

日本ではすんなり認められず(拒絶理由通知)・・・① 

無事に日本でも「iWatch」を出願できたものの、登録に待ったがかかりました。拒絶理由通知を受けたんです。詳しい拒絶理由の内容はわかりませんが、おそらく同じ商標が先に登録されているから認められないというものでしょう。 

アップルは「iWatch」を出願するときに、スマホ関連(第9類)と腕時計関連(第14類)のカテゴリーを指定しています。これは「iWatch」という商品がスマホにもなるし腕時計にもなるため、この商標を保護するならこれらのカテゴリーを指定する必要があったからです。 

そしてどうやら先に登録されていたiWatchにはスマホ関連(第9類)のカテゴリーを指定されていてかぶっているから商標登録が認められないと審査官が判断したと予想できます。 

トカゲのしっぽ作戦を実行(分割出願)・・・② 

複数のカテゴリーを指定した場合、そのうちの1つでも拒絶理由がかかってしまうと、出願自体がオジャンになります。そのためこの場合、最悪でも商標登録できそうな腕時計類(第14類)のカテゴリーを登録することを考えます。 

そこでよくやるのがトカゲのしっぽのように、商標登録できそうな方(拒絶理由がかかっていない方)と無理っぽい方(拒絶理由がかかっている方)を分割し、登録できそうな方を逃がして手続(分割出願)を進める作戦です。 

そして商標登録できそうな方は、あらためて審査がされます。この場合でもやっぱりジャマイカに出願した日にしたものと扱われるので、その間に腕時計関連(第14類)のカテゴリーについて同じ商標が登録されていなければ問題ないでしょう。 

商標登録が無理っぽくても戦いは挑める・・・③ 

問題は無理っぽい方(拒絶理由がかかっている方)です。アップルとしては「iWatch」にスマホ機能を持たせるだろうから、こちらのカテゴリーも保護しておきたいところです。そうじゃないとアップルが「iWatch」という商標を使うには、先にこのカテゴリーについて「iWatch」の商標登録をとった権利者に許可を得なければならないからです。 

そこでアップルは無理っぽい方でも商標登録できるよう、手続補正書と意見書を特許庁に提出し、スマホ関連(第9類)のカテゴリーのみにしたからあらためて審査してほしいとお願いしています。 

これでアップルの意見が認められれば無事にスマホ関連(第9類)でも商標登録が認められますが、ダメだった場合(拒絶査定の場合)はさらに商標登録にリトライする制度を利用する可能性もあります(拒絶査定不服審判制度)。 

 

現状は以上です。引き続きウォッチしたいと思います。

2014年5月30日

著者 ゆうすけ

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