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スタートアップも知っておくべき「内閣府の考える国家戦略特区の未来像」イベント講演レポート

公開日: : 最終更新日:2014/04/20 ビジネスモデル

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第9回サムライベンチャーサミットのセッションで唯一政府からの参加だった内閣官房地域活性化統合事務局次長の藤原豊氏のトーク内容の概要をまとめました。わかりやすい解説でとてもためになりました。

なおトーク内容は公開済みの「国家戦略特区特集ページ」に基づくものであり、セッション時間が30分だったため、資料と完全に一致しているわけではありませんのでご了承ください。  

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トーク内容(抜粋)

サムライインキュベートの榊原氏よりトーク依頼あり。まだまだ先行き不透明だった1年前(2013年)から成長戦略の一つとして活動中。地域を中心とした規制緩和が行われていく予定。制度設計も実施中。

2013年4月からスタート。産業競争力会議にてアベノミクス戦略特区構想を提案。ほとんど構想通りに制度設計している。ミッションは「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」。ビジョンは「大胆な規制改革と税制措置」他。

2013年5月より制度設計を行うワーキンググループを発足。

2013年6月5日安倍総理の「成長戦略第3弾スピーチ」あり。一部抜粋→「一つひとつ規制のモグラたたきをやっていても、キリがない」「外国人がコミュニケーション容易な医師から診療が受けられるようにし・・・」「子どもが通えるインターナショナルスクールも充実しなければ・・・」。

規制緩和の各論が大事。しかし既得権者との調整が困難。緩和案の概要は3つ。(1)外国人の医師の誘致、(2)インターナショナルスクールの設置、(3)昼夜人口の差がない容積率の緩和。なお公立学校の民営化案も進み始めている。

2013年9月ごろ。具体的な提案(アイデア)を民間・地方自治体242団体から収集。それについて議論された項目は15コ。医療、雇用、教育、まちづくり、農業、地方議会など。

2013年10月18日に国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針を樹立。容積率の緩和などまちづくりについては、自治体に任せているため国が入り込めなくもなっていた。そのため自治体・国・民間が共同して進めようという方針になった。ウィークリーマンションもホテル用の許可を取らずに可能とする検討有り。

雇用のルールについて。日本は不明確なことが問題のため明確にすべき。具体策はガイドラインの制作。労使が予見できれば裁判などに有効に働くと想定。特にベンチャーなど新規人材雇用で発生しえるトラブルを回避できるような労務管理などの方針を検討。外資系企業にも不利にならないようにした。

<参考資料>国家戦略特区のイメージhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/pdf/h25_kettei_image.pdf …

古民家等の活用のための建築基準法の適用除外等について。古民家の回収は建築基準法で可能ではあるが、地方自治体では伝統技術の有識者が少ないため手続に時間がかかる。そのため伝統技術の専門家により建築基準の適用除外を検討する。

農家レストランの農用地区域内設置の容認について。他人から調達したものも含めてサービスができるようになった。

国家戦略特別区域の概要(案)。東京圏、関西圏、新潟県新潟市、兵庫県義父市、福岡県福岡市、沖縄県。特に福岡市は「創業のための雇用改革拠点」であり、スタートアップも含め検討を進める。

「規制改革に終わりなし」「聖域もなし」の精神で安倍総理は進めている。

質疑応答

Q.資金調達について。法人税など検討する予定は?

A.抜本的な税制改革を強く意識している。しかし構造改革以上に困難な状況は否めない。例えば法人税を創業〇年以内の会社は緩和するとか、税制に関する提案を受けたい。年末まで最大現力を尽くす。

Q.エネルギー問題についての対策は?

A.規制緩和によって民間企業などにチャンスを与えられるように検討したい。

Q.各地域でのリーダーシップや意思決定者について検討しているか?(誰がリードするのか?)

A.区域での担当大臣、組長、事業者の三者による検討が重要。特定の事業者で民間企業をリードできるのか?区域会員をどのように組成するか?など。プロモーターは最終的には総理が氏名する予定。

 ≪まとめ≫

国の政策をトークイベントで聞けるタイミングってなかなかないので貴重な内容だと思います。スタートアップに限らず、国がどういう方針でどういう方向に進んでいるかを知るのは大切です。賛否両論はあるものの、一人ひとりが実体を知り考えることが国の底力をアップさせるのではないでしょうか。

2014年4月19日

著者 ゆうすけ 

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